小沢一郎氏が仕掛けて、政権を奪うことにもつながった「二大政党制」(*1)。そして、日本維新の会が掲げている「首相公選制」。どちらも魅力的な制度ではあるけども、現時点ではうまくいかないと考えています。

それは、日本の官僚が日本国家に属しており、政党に属していないからです。(この書き方が誤解を招くと思うので、説明していきます。)

日本における「二大政党制」に期待する国民は多かったのですが、日本においては民主党の政権運営をみても明らかなように上手くいきませんでした。民主党が野党時代に掲げた政策は、政権を奪った後は実現性に乏しいことが明らかになり、民主党自ら方針を変更するありさまでした。

このことで、国民を騙したと非難されます。

民主党の中でも政権に近いグループに属する人たちは、現実に即した政策に転換しようとし、政権から遠いグループに属する人たちは、マニュフェストを死守しようとして、与党内で混乱を招きました。

なぜ、民主党は実現性の低い政策をマニュフェストとして掲げてしまったのでしょうか?

私は、党側に必要な人材がおらず、情報不足だったためだと思います。

1993年に自由民主党が野党に転落したとき、野党の悲哀を感じるエピソードとして紹介されたのは「官僚が(自分の所に説明に)来ない」というものでした。

日本の官僚にとっての目的は、(自分の)法律を通すことです。そのために優先順位をつければ、与党の政治家へのレクチャーを重視するのは当然で、野党に呼ばれても自分は行かず、部下に任せるという判断になったのです。

ひとつ、ひとつの政策を熟知しているのは、日々そのために活動している官僚です。その官僚のサポートがなければ、実現性の低い政策になってしまうのは当然だと思います。


ここが「二大政党制」を機能させているアメリカと違うところです。アメリカの場合、"大統領が任命権を持つ官僚の数はおおよそ3,500人程度(*2)"と、大統領が直接官僚を指名することができます。また、オバマ政権は、大統領選挙の前に「省庁検証チーム」を立ち上げ調査を開始しましたが、"クリントン時代に行政部での経験をした人間が多いため、かなり深いところまで検証が行われた(*3)"とされています。つまり、官僚経験者を党側で確保しているため、実現性の高い政策を掲げることができるのです。


つまり、「二大政党制」と「首相公選制」をうまく機能させるためには、政策に熟知した官僚を、党側で確保しておく必要があります。


民主党が明らかにしたことは、(大きな方針を求める)政治家だけで政策を決めても上手くいかないということです。

マニュフェストを決める段階で、(大きな方針を求める)政治家と(現実の政策に明るい)官僚が一緒になって、政策を決める必要があったのです。


「政権交代」を上手く機能させるためには、「国会議員」側の改革と、「官僚」側の改革の両方を行う必要がありました。

現在は、「国会議員」側の改革である「小選挙区制度」のみ先行して実現しており、これが混乱を生むだけの仕組みになっています。

と、考えるのですが、どうでしょうか?



(*1)http://kotobank.jp/word/二大政党制

(*2)アメリカにおける政権交代−日本との比較 〜権力分立制、政治任用制、および分極化した政党制のもとで〜 久保文明|記事|政策研究・提言 - 東京財団 - 東京財団 - THE TOKYO FOUNDATION